HADATE RAW UNI
FROM HOKKAIDO JAPAN

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03INSPIRATION

INTERVIEW. VOl.02

MITSUHIRO ARAKI

荒木 水都弘

あら輝 店主

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荒木水都弘にはもはや証明すべきことはない。キャリア35年を経た寿司職人として業界の伝説的存 在だ。二大陸でミシュラン三つ星を獲得した初の寿司職人であり、自らの実践を通じて最高峰の江 戸前寿司が東京と同様に英国や香港でも実現可能であることを示した先駆者である。

しかし荒木氏は、自らの功績に浸るような人間では決してない。新たな挑戦のために三度星を手放 し、59歳となった今も、とっくに極めたと思われがちなこの技に対して、謙虚な姿勢を貫いてい る。彼の道は自己鍛錬の道であり、新たな一日への感謝の道であり、温故知新の道である。

これこそが、荒木水都弘が歩み続ける理由である。東京に夜が訪れると、赤坂にある「あら輝」と いう厳かな劇場で再び舞台に立ち、客に忘れられない食事を振る舞う準備を整える。その物語を伝 える。

青天

Chapter 01.

あら輝という
晴れ舞台

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たとえ進歩がわずかであっても、より高い境地を求め続ける。それこそが日本の職人精神の核心 だ。荒木水都弘もまた、自身を職人として位置づけている。「何よりもまず職人でありたい。寿司 で成功するには、職人である必要があると思います。」

このコミットメントはあらゆる面で現れる。「(職人なら)包丁の手入れが行き届いてない、白衣 が汚い、カウンターがごちゃごちゃしてるのはありえない。いかに無駄がなく、いかに必要以上に 装飾せず、お客さんが集中して、シンプルに美味しいものを堪能していただくかっていうことに尽 きる。」

だが職人技だけがすべてではない。荒木氏にとって、寿司職人はパフォーマンスアートの一種だ。 「お店が舞台みたいなもので、僕らは演者。」

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「お客様の目は常に僕らに向けられていて、僕らは行動のすべて——話し方、動き、呼吸さえも——
を意識せざるを得ない。お客様の存在に耐えられるかどうかが大事。お客様がまた来てくれるかど うかっていうのは、見えるものよりも、見えないものに大きく動かされていく。」

主役の荒木氏は常に“観客“を意識しなければならない。「おまかせではお客様一人一人に合わせる のが大切。少ない情報を整理して、最後まで、心地いい雰囲気で、食材を全部召し上がっていただ けるように組み立てる。途中でお腹いっぱいになったから、じゃあやめるわって言うことが一番悲 しい結末です。」

荒木氏を決定的に際立たせているのは、失敗と完璧の境界線が紙一重であることを彼が理解してい る点だ。運命は、最も熟練し周到に準備した者の計画にさえ、介入する術を持っている。「寿司屋 を経営する上で一番大事な要素は人としてどうあるべきか。成功を願う、祈るのは全然問題ないん だけど、その前にすべてにおいて、反省をし、その日の振る舞いから何をより良くできるか、考え 続けるしか答えはないわけですよ。」

誰彼

Chapter 02.

承り伝える
江⼾前の技

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荒木水都弘は最高の師から学び、その技を極めた。今や彼は数百年にわたる江戸前寿司の伝統を継 承することに力を注いでいる。

「ずっと仲買さんの仕事を見てきた。どうやってものを評価したり、最高の魚を選んだりするか。 整理できる情報もあれば、感覚的な部分もある。何十年もやっているとか、経験からしか得られな い部分だ。」

魚の目利きを学ぶのと同様に、最高級の素材を世界クラスの寿司へと昇華させる技は、ひたむきな 努力によってのみ解き放たれるものである。「これはもう訓練、訓練、訓練しかないんです。」

荒木氏は弟子たちに早い段階から高品質の魚を扱いさせることで知られている。「いい魚だけ触ら せときゃいい。そうすれば、何かが違う時にすぐわかるから。」

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次世代の寿司職人を育成することは、荒木氏が何より真剣に取り組む課題だ。これもまた正しい心 構えから始まる。「育成や伝統の継承において、自分が幸せじゃないのに、人の幸せに貢献すると いうのは、偽善だと思います。だから俺は、気を散らすものやストレスの原因となるものを排除す るために、できる限りのことをする。」

荒木氏が失望を避ける方法の一つは、最高級の魚のみを仕入れることだ。「仕入れに対して自分が ストレスフリーであることが大きい。それはもちろんコストが伴うが、最高のものになれば言い値 で買わないと、仲買さんは用意できないんですよ。」

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荒木氏にとって、羽立のウニは香港時代から最も頼りにしている食材の筆頭に挙げられている。 「あちらの寿司通の多くが、ウニをマグロと同等に高く評価していることに気づいたんです。だか ら、彼らに最高のものを提供しようと決心しました。それが結果的に、羽立だったのです。」

「季節が変わっても、羽立のウニはうまいわけですよ。これは珍しい。どの箱に入っているもので も、一つひとつが形が良く、ちょうど良い乾きで、美味しい。一定の高基準を年中満たせること は、マグロですら難しい。」

最高の素材を厳選し、さらなる高みへ昇華させる。幾世紀にもわたる知恵を礎に、現代の革新を創 り出す。絶え間ない変化の中で、不変の精神を貫く。これが江戸前の真髄。荒木氏が人生をかけて 守り続けてきた本質である。[荒木さんにとって江戸前とは、の一言を追加?]

瀧月

Chapter 03.

外形は内⾯の
⽴ち上がり

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荒木水都弘に信条があるとすれば、それは「温故知新」。過去から新たな洞察を得る。彼の赤坂の レストランは、この哲学を顕著に体現している。

控えめな広さのメインルームは、樹齢250年のヒノキの一枚板で作られたカウンターを中心に据 え、茶道のミニマルな美意識を想起させるように設計されている。中央に据えられた盆栽や一対の 浮世絵が、日本の文化的遺産をこの空間に定着させている。

しかしこれらの品々は単なる装飾品ではない。願いや希望、夢——荒木氏の内なる世界の理想像を 表現しているようだ。

レストランの音の世界もまた内なる平穏を伝える。巧妙に隠されたハイファイスピーカー静かに閉 まる引き戸が、気づかれることのないよう設計された音響空間を創り出す。

過去は細部にも息づいている。荒木氏の名が刻まれた千年杉の板は彼が初めて独立した店での思い 出の品。師匠である伝説の寿司職人・新津武昭氏がかつて使った四角い銅鍋は今も現役だ。「自分 のルーツを思い出させてくれる品々だ。」

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いつの日か、荒木水都弘は店の入口の上にかけられている控えめな名札を外し、 道具を次世代に引き継ぐだろう。だがそれはすぐには訪れない。「寿司は自分にとっての 生業であり、自分にとってのすべてである。そして学ぶべきことはまだ山ほどある。」

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MITSUHIRO
ARAKI

荒木 水都弘

あら輝 店主

PROFILE.

荒木水都弘は25歳で江戸前寿司の世界に入った。東京・銀座の彼の店は2010年にミシュラン三つ 星を獲得し、2014年にはロンドンに移り「The Araki」を開店。同店は2018年に三つ星を獲得し た。「The Araki」を香港に移したのち、2024年に東京へ復帰。現在は赤坂に「あら輝」を構えて いる。

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